蒸し暑さや日差しの強さが気になる季節になりましたね。
そんな時にふと香る、ミントや薄荷の爽やかな香りは、暮らしの中に風を通してくれます。
私たちの畑では、今年も和種ハッカを3種類育てています。
種類によって香りの表情が異なり、どれもとても個性豊か。
それぞれの特徴に合わせて、使い道を選んで楽しんでいます。
ミントや薄荷は育てやすく、初心者にもおすすめのハーブです。
お部屋の中で小さな鉢に一株あるだけでも、風が通るたびに香りが立ち、
生花として飾ったり、お茶にしたりと、日常の中でいろいろな楽しみ方ができます。
そして実は、ミントや薄荷にも花が咲くのをご存じですか?
白や淡い紫色の、可憐でやさしい花が咲いて、目でも楽しませてくれます。
見た目がよく似ているミントと薄荷ですが、
実は成分や香り、使い方にちょっとした違いがあります。
この記事では、2つの特徴や夏におすすめの使い方、
漢方での役割までをご紹介していきます。
1. ミントとハッカ、何が違うの?
ミント(Mentha 属)には、スペアミント、ペパーミントなど、さまざまな種類があります。
メントールを含みつつ、品種によって甘みやフルーティーさを感じる香りがあり、それぞれに個性があります。
一方、薄荷(Mentha × piperita)はミントの一種で、
メントールの含有量が特に高いのが特徴。シャープで清涼感のある香りは、暑い季節にぴったりです。
葉の裏にはメントール成分が結晶化してきらりと光る粒が目で見ることができ、ハーブとしての美しさも楽しめます。
ちなみに、漢方薬にはこのメントールを多く含む「薄荷(ハッカ)」が用いられることが多く、
喉や熱を鎮める生薬として重宝されています。
私たちもハーブティーにはミントを、製品には薄荷を使っています。
<メントールの主な作用>
冷感作用(清涼感)
•神経を刺激して「冷たい」と感じさせる作用があります。
•熱がこもる夏場や、日焼け後の肌のほてりにぴったり。
鎮痛作用
•軽い痛みやかゆみを和らげてくれる働きがあります。
(冷感によって神経の興奮を和らげ、神経伝達を一時的にゆるめてくれるのが理由です。)
抗菌・防腐作用
•細菌やウイルスに対して抗菌効果があるとされ、空間の清浄やニオイの軽減にも◎
消化促進・健胃作用
•香りの刺激が胃腸の働きを助け、食欲を促します。
リフレッシュ・集中力アップ
•メントールの香りには交感神経を刺激し、シャキッと目覚めるような作用があります。
鼻づまりや咳の緩和
•呼吸器系の粘膜をやさしく刺激し、鼻の通りをスムーズに。
2. 夏のくらしに、こんな取り入れ方
扇風機やサーキュレーターに1~2滴
薄荷精油をティッシュなどに1〜2滴たらして、
扇風機の風が当たるところに置くだけ。空気がひんやり感じられます。
カーテンや網戸に
カーテンや網戸に薄めたハッカスプレーを吹きかけておくと、風が通るたびにすーっと爽快感が広がります。
虫除けにも◎
ハーブティーやフレーバーウォーターに
ミントやハッカのハーブティーは、香りだけでなく胃腸の調子を整える働きもあります。
濃いめに抽出して炭酸で割っても美味しいですよ。
3. 肌にはハーブチンキでやさしくケア
精油に比べて刺激が少なく、日常使いしやすいのがハーブチンキの魅力です。
化粧水や乳液に数滴加えるだけで、清涼感が肌をやさしく包み込みます。
・日焼け後や毛穴のひらきに
メントールの抗炎症・抗菌作用が、かゆみやほてりを和らげてくれます。
暑い日は、冷蔵庫でしっかり冷やしたミントの化粧水がとってもおすすめです。
すっきりしつつも優しい使い心地は、男性のアフターシェーブローションとしてもおすすめですよ。
ハーブチンキを使った化粧水の作り方はこちらから。
WITH HERB TINCTURE
〜自分だけの化粧水を作る〜
4. 漢方の世界でも大切な存在
薄荷は、実は日本にも古くから伝わっており、漢方でもよく使われています。
風邪薬として有名な「葛根湯(かっこんとう)」、
女性の体の不調を整える「加味逍遙散(かみしょうようさん)」。
薄荷の持つ“気をめぐらせて冷ます”性質が、ストレスや自律神経の乱れによる不調に、
やさしく作用すると考えられ配合されています。
5. 蒸留の“ねらい目”は、葉っぱの裏のキラキラ
薄荷の葉裏には、ときおりキラキラ光るメントール結晶が現れます。
朝露が乾いたあとの晴れ間や、曇りの日のあとが“ねらい目”。
このタイミングで収穫して蒸留すると、メントールを多量に含んだ、濃厚な精油がとれることもあります。
暑さの続くこの季節。
自然のちからを借りて、こころとからだに涼しい風を吹き込んでみませんか?
ぜひ、日々のくらしの中に取り入れてみてくださいね。